寿司とワインでSSPP!?現代の町場寿司「スシ&ナチュール」(東京都・西五反田)


はんばた市場の食材を扱ってくださる、おすすめのお店をご紹介する連載記事です。
西伊豆町内のお店はもちろん、東京など町外のお店も掲載させていただきます。
vol.1は東京都・西五反田の寿司屋「SUSHI&NATURE(スシ&ナチュール)」さんをご紹介します。



寿司屋とは思えない外観に、通り過ぎてしまうお客様も

五反田駅から少し離れた住宅街。
その中にひっそりと佇むのが、寿司とワインを気軽に楽しませてくれる「SUSHI&NATURE」さんです。
バーのような外観に一瞬ためらいますが、勇気を持ってドアを開けば、“美味しい”と“笑顔”に満ちた暖かな空間が待っています。


最初は坊主に割烹着だったが、徐々にこのスタイルへ

こちらが料理人の吉岡さん。
Tシャツにキャップというカジュアルなスタイルですが、実は和食と寿司の修行を20年近く積まれたTHE・職人。
寿司の常識を覆す面白い技法や組み合わせを日々研究されており、通う度に“美味しい驚き”を提供してくださいます。


西伊豆町のアオリイカに“ある香草”を使うとワインにぴったり!

そんな吉岡さんの魅力は、お人柄にも。格闘家の経験もあって大柄ですが、内面はとてもチャーミング。
常連さんたちには「よっしー」の愛称で親しまれています。
世間話をしながら次々と美味しい料理や寿司を出してくれる居心地の良さに、女性の一人客も多いそう。
「昔から各駅に1つ2つ、“町場の店”ってあるじゃないですか。地元の人をはじめ誰でも気軽に入って、
肩肘貼らずに食べて飲める…。そんな“町場の店”の現代版を寿司屋でやりたいんです」
と、笑顔で話してくださいました。


西伊豆「夕陽ハタ(アカハタ)」酒蒸しのわさび餡かけ。豊潤な香りが癖になる。

スシ&ナチュールさんのコンセプトは「SSPP(エスエスピーピー)」。
英単語の略かと思ったら、SSは「スイスイ」、PPは「パクパク」で、“スイスイ飲んでパクパク食べられる”という意味だそう。
寿司とワインなんて聞くとかしこまってしまいそうですが、こちらではリラックスして心ゆくまで飲み食いできます。


取材時の前菜。汁物から刺身、揚げ物、酒蒸しまで

メニューは基本「おまかせ」のみで、前菜5品程度・握り10貫程度・デザート&コーヒー(緑茶)。
あまりボリュームがあるように感じないかもしれませんが、いただいてみると、これが大満足の内容です。
(21時以降に席が空いている場合に限り、握りを除いた「つまかせ」コースをお願いできる場合があります。)


取材時の寿司の一部。美味しすぎて、パクパクが止まらない

前菜と呼んでは申しわけないようなお料理が次々に出てきて、その後に小気味良いテンポで握りが登場。
仕入れの状況によって握りの貫数が増えていく…なんてことも、よくあるそうです(料金はそのまま)。


ワインショップの一角。世界中の自然派ワインを楽しめる。

そんなPP(パクパク)を加速させるのが、SS(スイスイ)のワイン。
実は「wine shop LUCY(ワインショップルーシー)」というナチュラルワイン屋さんが併設されており、
おすすめのワイン数種をグラスで楽しませてくれるのです。
抜栓料(1,000円)を払えば、好きなボトルを購入して開けることも可能。


飲みやすいものが多く、本当にスイスイ進んでしまう

こちらのポイントは、ワインが「ナチュラルワイン※」であること。美味しいのはもちろん、なんと“翌日に響きにくい!”のです。
「飲みすぎた翌日でも、ちょっと疲れてるかな〜くらい。頭がガンガンするとか、吐いてしまうことが滅多にないんですよ」と、常連さんも嬉しそうに教えてくださいました。
だからついついSS(スイスイ)が進み、それに伴ってPP(パクパク)もまた進む。まさにSSPPなお店なのです。
※ナチュラルワイン:自然に寄り添い、極力科学や人の力を介入しないで造られるワイン。(LUCYさんHPより)


「西伊豆のわさびは香りがいいのにツーンとこない」と好評

そんなスシ&ナチュールさんは現在、魚を中心に、わさびや野菜や調味料など、食材の約3割を西伊豆町から取り寄せてくださっています。


ーーたまたま知人に誘われて西伊豆町へ行ったのがきっかけでした。
生産者さんや、はんばた市場のスタッフさんともお話しさせてもらったのですが、真剣に食材に向き合いながらも
物腰の柔らかい方が多くて。
私は「生産の現場から飲食店まで、チームプレイで美味しいものを届ける」ことに喜びを感じる人間なので、
そこに惹かれたんです。

西伊豆の鰹節製造を見学させていただいた際の1枚


ーー「この魚は、もっとこんな仕立て(血抜きなどの処置)にしてほしい」なんて相談もできるし、魚に限らず
いろいろな食材を提案してくれるので、ひと皿の中に地域の「食の繋がり」を表現できます。
あと定置網が不漁の時に、漁業権を持っているはんばた市場のスタッフさんが「スシ&ナチュールさんに
お送りできる魚がないんで、僕が釣ってきます!」なんて、本当に釣って送ってくれたことがあって。(笑)
料理と一緒にいろいろなストーリーまでお客様にご提供できるのも、面白いところですね。

しおかつおを出汁と具に使った、おでんが出ることも

スシ&ナチュールさんには、西伊豆町だけで生産される絶命危惧食「しおかつお」も飾られており、
西伊豆のことが話題になることも多いそう。


ーー産直食材は美味しいだけでなく、ちょっとした旅行気分が味わえるところも魅力だと思うんです。
その食材と同じ出身の方がいらっしゃったら、里帰り気分にもなっていただけますし。
うちで西伊豆町の食材を食べて興味をもち、実際に西伊豆へ足を運んで地域の空気と一緒に地域ならではの食べ方をする。
そしてまた思い出と共に、うちへ再訪していただく。そんな繋がりをつくっていけたら楽しいですね。

中トロは赤酢飯。特製のタレでワインに合う仕掛けに

スシ&ナチュールさんでは、西伊豆町をはじめ全国各地から集めた食材を中心に、美味しいお料理をたくさん食べさせていただけます。
シャリも通常の酢飯に加えて、特注の赤酢で仕立てた赤酢飯と使い分けるこだわりよう。
しかし決して気取ることはなく、“現代版の町場寿司”として、とびきりSSPPなひと時を味わわせてくださいます。
美味しい食とお酒を思う存分楽しみたくなったら、ぜひ東京都・西五反田にあるスシ&ナチュールさんへ。

SUSHI&NATURE(スシ&ナチュール)
住所:東京都品川区西五反田7-3-7
電話:080-9392-7176
営業時間:18:00〜22:00(Last in)(21時までのご予約は「おまかせ」のみ)
定休日:毎週水・日曜日
https://lucywine.jp/pages/sushi
※人気のお店なので、ご来店の際は事前に予約されることを強くおすすめします。
※天候不良など漁の状況によって、西伊豆の食材がない可能性があることをご了承ください。