これぞ「顔が見える魚」。
“はんばた”ならではの海産物を届けたい

はんばた市場に商品を提供してくださる、生産者さんや加工屋さんをご紹介する連載記事です。
vol.1は私たち、はんばた市場の「鮮魚コーナー」についてご紹介します。


はんばた市場へ入って、正面奥。お魚コーナーの隅に、小さな勝手口があります。
その扉が不意に開き、外から日に焼けたおじさんやお爺さん、時に女性が、大きなバケツやクーラーボックスを抱えて入ってきます。
そうして勝手口すぐにある魚加工場の扉をノックして言うのです。「良いの獲ってきたよ!」。

彼ら・彼女らの正体は、なんと漁師。はんばた市場には西伊豆町を中心に、隣町の松崎や南伊豆からも、漁業者さんたちが獲れたての海産物を売りに来てくださるのです。
現在お取引がある漁業者さんは30人ほど。定置網、刺し網、釣り、潜りなど、さまざまな漁法で、四季の美味しい海産物を獲っています。

「地物」のシールがついた多様な海産物が並ぶ

“顔の見える野菜”が全国的に有名ですが、はんばた市場では写真や絵でなく、実際の漁業者さんの顔が見られます。これぞ真の「顔が見える魚」。
「地元の美味しい海産物を、地元の人や、外から遊びに来てくれる人に食べてほしい」。そんな想いのこもった海産物が、市場の売り場に並んでいます。

魚の捌き方を勉強したいお客様が覗いていることも

はんばた市場では、海産物を加工するスタッフの顔も見ていただけます。魚加工場には大きな窓がついていて、魚を扱う姿が丸見え。売り場に泳ぐ活魚をご購入いただければ、目の前で三枚おろしにすることも可能です。

実は、はんばた市場は魚の仕入れだけでなく、“仕立て”(血抜きや神経〆をはじめとした、魚を美味しくするための処理)にもこだわっています。
それというのも加工場で働くスタッフは、根っからの釣り好きばかり。
「自分で釣った魚をどれだけ美味しくできるか」と幼少期から試行錯誤を繰り返してきたスタッフもおり、 仕立てのレベルアップに余念がありません。

最近はウツボの仕立てを研究中

魚屋さんといえば、仕入れた魚をそのまま並べたり、三枚おろしにしたり…が一般的。しかし、はんばた市場に並ぶ鮮魚はいずれも“血抜き”や“神経〆(しんけいじめ)”などの仕立てを行ったものばかりです。
血抜きは、細菌が繁殖する原因である”血液“を抜くことで清潔な状態を保ち、神経〆は、死後硬直を遅らせることで旨味の元となるATP(エネルギー分子)が、旨味(アミノ酸)へ変化するサポートをします。

手間はかかりますが、こうした仕立てをすると味や食感、安心感が変わります。
漁業者さんたちも加工場のスタッフも、顔を丸見えにしてご提供する海産物。お客様の更なる「美味しい」を目指して、こうした技術をまだまだ進化させたいと思っています。

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また、はんばた市場では一部の海産物を、東京など町外の飲食店へもお届けしています。これは西伊豆町の海産物の魅力を町外の方に知っていただくことで、西伊豆を訪れる“きっかけ”をつくるため。

仕立てた魚に何重にもペーパーを巻いた後、真空状態にして送る

町外へ送るときは配送に時間がかかるので、その時間を逆に利用して、魚の余分な水分や血液を出し、熟成させながら運びます。こうすることで魚体によっては1〜2週間の長期熟成も可能に。濃厚な旨みやモチモチねっとりとした食感などを楽しんでいただけます。

そうした海産物を気に入ってくださった方が、「今度は西伊豆で鮮度抜群の状態でも食べてみたい」と足を運んでくださる。そんな未来を描いて、1匹ずつ丁寧に仕立てています。

はんばた市場の由来である「はんばた」とは、西伊豆の方言で“浜端”が訛ったもの。つまり、海のすぐ傍という意味。事実、市場の目の前には海が広がり、漁業者さんたちが船で獲った魚を降ろす漁港も徒歩30秒にあります。
この恵まれた立地を活かして、西伊豆町やその周辺で獲れる海産物を、たくさんの人に最高の状態でお届けしたい。はんばた市場は、そんな「海と地域内外を繋ぐハブ」を目指して、今日も魚と人に向かい合っています。

はんばた市場
住所:410-3514 静岡県賀茂郡西伊豆町仁科980-4
電話:0558-36-3950
HP:https://hanbata.com/
営業時間 平日 8:30〜15:00、土日祝 8:30〜16:00
定休日:毎月第4火曜日

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